2023年よりファッションブランド〈minä perhonen(ミナ ペルホネン)〉と共同開発を進めていた特別モデルのニーチェアエックスがついに完成。2024年2月17日(土)~21日(水)の期間、伊勢丹新宿店で開催される「Dear Friend, Department – minä perhonen in ISETAN SHINJUKU – 」で先行販売される。ブランドのファウンダーでありデザイナーの皆川 明さんに、今回の開発エピソードやものづくりへのフィロソフィ、そして永く愛着を持てるモノと過ごす、豊かな暮らしへの想いをうかがった。
ニーチェアエックスのフィロソフィとも共鳴する、ミナ ペルホネンのものづくり
手作業の図案によるオリジナルのテキスタイルデザインを中心に、衣服をはじめ、家具や器などライフスタイルを彩るアイテムを展開するブランド〈ミナ ペルホネン〉。ブランドスタートから今年で29年。近年では、店舗や宿などの空間ディレクションや、国内外を巡回する展覧会の開催など、多方面にてクリエイションの幅を広げている。その活動の根底には、同ブランドのデザイナーでありファウンダーの皆川 明さんが、ブランド創設当初に掲げた「せめて100年続くブランド」をという言葉がある。
「私ひとりの人生の時間では、思い描く理想を育てるには時間が足りないと感じていました。だから、私個人の能力や未来を見通す力の範囲でブランドを見るのではなく、せめて100年程の未来を見据えて、ブランドの活動を重ねていきたいという想いがあったんです」と当初の想いを語る皆川さん。
これまでものづくりを行う上で、日々の事象への観察とそこから生まれる空想を源泉とすること、そしてそこから生まれるものづくりのプロセスに最善を尽くすことを大切に、常に新しさを携えながらも、“ミナ ペルホネンらしさ”という普遍的な世界観を創造し続けてきた。そしてその過程では、時代の流れとともにおとずれるさまざまな変化と、当初から変わらないものとが同居する。
「変化したことは、続けてきたことへの検証と改善が時の重なりを経てできるようになってきたことでしょうか。時代と共にという点では、良質な原材料の入手が難しくなってきたことや、ものづくりに携わる人の減少により、製造現場の確保が難しくなっていること。一方で、既成概念に対して新しい視点を持ち、新たな方法、表現を探究することは、ずっと変わらないことです」
そんな〈ミナ ペルホネン〉の活動は、今年で発売から54年を迎えるニーチェアエックスのフィロソフィともきっと共鳴するのではないだろうか。その想いは、あるプロジェクトをきっかけに共同開発の実現へと至った。
「ニーチェアエックス-ミナ ペルホネン “choucho”」の開発ストーリー
幅広い領域で展開する〈ミナ ペルホネン〉の活動の中に、「大切な人を思う気持ち」をコンセプトに伊勢丹新宿店にて展開する「Dear Friend, Department」というイベントがある。家族や友人など大切な人のことを考えながら選ぶ日々の暮らしに寄り添うもの、衣食住にまつわる幅広いアイテムが揃い「小さなデパート」をイメージして構成され、2018年、2021年に続き2024年の2月に3回目の開催が決定。今回のテーマは「Design Diversity」。いま世の中で大切にされているダイバーシティ(多様性)において、デザインがどうあるべきか、どのようにあれば楽しいか。〈ミナ ペルホネン〉がコラボレートするさまざまなブランドの地域や歴史、そしてフィロソフィがこれまで以上に多様につながりあうことを考え、ものづくりを協働した。そのひとつにラインナップしたのが「ニーチェアエックス-ミナ ペルホネン “choucho”」だ。
「簡素であり、機能的であり、快適であることから、ニーチェアエックスを選定させていただきました」
環境に馴染み、寛ぎを提供できるデザインに共感を得、ニーチェアエックスはこれまでも、皆川さんがディレクションを手掛けた宿泊施設『ウミトタ』(香川・豊島)や『cocoon』(千葉・木更津)、積水ハウスのモデルハウス『HUE』(東京・駒沢)などのインテリアにも採用されてきた。そして今回ついに共同開発へ。
注目すべきは、ニーチェアエックスのデザインと生地はそのままに、〈ミナ ペルホネン〉の柄を刺繍で落とし込んだということ。採用したのはブランドを象徴するパターンのひとつ“choucho”だ。
「ニーチェアエックスの生地には、身体を預けた時の心地よさとともに、リラックスできる強度がありながら、起毛加工による一度洗ったかのような柔らかな風合いがあります。その素材の特性や素材感を生かしながら、ミナ ペルホネンらしい柄を表現したいという点で、ブランドを象徴するテキスタイルのひとつである“choucho”が最適だと思い、提案させていただきました。“choucho”はいくつかの蝶が舞う姿と、その余白により穏やかな時間や気配が表現されています。刺繍にはどちらかというと不向きな生地ですが、刺繍が刺せたことはこれからの私たちの開発にも新しい発見となりました。実際に完成した製品を前にして、ニーチェアエックスの素材の表情と、ミナ ペルホネンの“choucho”が共存する、心地よい生地となったように感じています」
これまでもこれからも、愛着を持てるモノと暮らすということ
こうして完成した特別なコラボレーションモデル「ニーチェアエックス – ミナ ペルホネン “choucho”」。これまでのニーチェアエックスのデザイン、生地はそのままでありながらも、自由に舞う蝶々の刺繍、素の素材を活かしたソープフィニッシュの肘かけ、各シートの色に合わせた組み紐、ダブルネームの特別タグなど、このコラボレーションらしい細部へのこだわりが散りばめられている。
このニーチェアエックスを手にした人にとって、永く愛用いただけるものでありたいと願いながら、皆川さん自身がこれまで永く愛着を持っているモノについても尋ねてみた。
「シトロエン2cv。18歳の時に初めて自分で購入した車です。現在乗っているのは2台目ですが、車としての佇まいや必要最低限の機能にデザインとしての節度と感情的な喜びを兼ね備えているところに愛着を持っています」
シンプルかつ機能的であり、穏やかな時間や気配を感じられるということ。いつまでも愛着を持てるモノに対する皆川さんの想いはずっと変わらない。それが豊かに暮らしていくということなのだろう。
「使い心地のよさ、構造的なシンプルさ、折り畳めて持ち運べて合理的であること。そんなニーチェアエックスは、一家に一台あってもいいなと思っています。リクライニングのロッキングは座るとほんとうに豊かな気持ちになれる。そんなプロダクトを今回皆さまにご紹介できてうれしいです。もし次の開発があるとしたら、テキスタイルの新たな可能性を探ることも試みたいですね。これからもものづくりを通して、社会に人々の喜びの感情や平和な環境を創りたい。そこに繋がる私たちの可能性があれば全力で取り組みたいです」。
Dear Friend, Department
ー minä perhonen in ISETAN SHINJUKU ー
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