日々の暮らし

ニーチェアエックスの
ある風景

ルーフトップシネマ
移動映画館
Kino Iglu(キノ・イグルー)

東京・目黒通りのホテル複合施設 CLASKA(クラスカ)と移動映画館 Kino Iglu(キノ・イグルー)による野外映画上映『ルーフトップシネマ』。東京の街並みを一望できるウッドデッキで、心地よい夜風を感じながらドリンクを片手に映画を鑑賞し、夏の夜のひとときを満喫できるイベントです。2019年からは「来場者がゆったりとくつろぎながら映画を楽しめるように」と、観賞用の椅子としてニーチェアエックスが導入されています。

そんな目黒通りの夏の風物詩として親しまれてきたイベントも、クラスカの閉館に伴い、今年でファイナルを迎えることに。そこで主催者のKino Iglu 有坂塁さんと渡辺順也さん、CLASKAの速水真理さんを訪ね、2008年から12年に渡って開催されてきたイベントへの想い、暮らしの一部としての映画の楽しみ方を伺いました。

左:速水真理さん(CLASKA) 中:有坂塁さん(Kino Iglu) 右:渡辺順也さん(Kino Iglu)

“星空を照明に、街の音をBGMに
野外上映ならではの「体験」の共有”

有坂さん 僕たちKino Igluの野外シネマは、今ではいろんな場所でやっているんですけれど、そのはじまりがここ、CLASKAと横須賀美術館だったんです。未だにどちらのイベントも続いていて、お客さんで来てくれた人から「また野外でやりたい」と(新しい企画が)広がっていったりもして。出発点であるということも含めて、すごく思い入れのある場所です。

速水さん ルーフトップシネマはクラスカにとっても、すごく大事にしてきたイベントです。はじめは映画への興味からでもいいので、ここに足を運んで頂くきっかけになって「東京にこんな場所があるんだ」ということをまずは知って体験していただきたい。ここでなにか特別な思い出を作ってもらいたいというのが、施設としての一番の想いです。こんな素敵な夏の過ごし方があるんだよって。

「CLASKAは野外シネマの出発点」と有坂さん

-ずばり野外上映の醍醐味は、どんなところでしょうか。

有坂さん 東京のど真ん中の屋上で映画が見れるということが、何より特別ですよね。下には車が走っているし、人もたくさん歩いていますけれど、ここだけエアポケットのような空間になっていて。限られた人たちが屋上での開放感とともに、映画のストーリーを共有できる特別な場所かなと思います。

渡辺さん 『銀河鉄道の夜』を上映したときに、上映中に流れ星が後ろを通ったんですよ。会場がザワザワとして、おおーっと声があがって。そんな奇跡みたいなことがありましたね。

有坂さん 『プロヴァンス物語/マルセルの夏』という作品にも、主人公の男の子二人が岩陰に隠れて雨をしのぐシーンがあるんです。そのときにも雷が鳴って豪雨降るタイミングで、本当に雨が降ったんです。本当に同期するようにぴったり! みんな、え~って言いながら避難して。そういうことって、野外上映では結構あるんですよね。

速水さん 他にも鳥のさえずりが聞こえたり、車の流れる音だって意外と気持ち良いんですよね。

有坂さん やっぱり映画館だと、作品の邪魔をするものは全部「ノイズ」なんですけれど、屋外の上映では主催者がコントロールできないことだらけなので、来場者のみなさんも無意識にいろいろなことを受け入れてこの場にいるんですよね。この数時間を、運命共同体じゃないけれど、時間共有する意識がより起こりやすいのかなと思います。

「野外上映で飲むビールは最高!」と渡辺さん

“ニーチェアエックス”

-今年はニーチェアエックスを50台設置いただいたのですが、デッキにずらりと並ぶ光景はとてもユニークですね。

速水さん 昨年は会場の一部分に10席ほど使用させていただいたら、お客様にすごくご好評をいただいて。その場で気に入って買って帰られた方もいらっしゃったんですよ。

今年はちょうど新型コロナウイルスのこともあって、そもそも開催できるのかというところから、この春はだいぶ悩みました。 これまでは100人程度が直座りで鑑賞していたんですけれど、とてもその状況はつくれない。定員数をぐっと減らして、座席も設けて間隔を空けて・・・なんとかやれる方法はないかなと考えていたときに(ニーチェアエックスを製造・販売している)藤栄さんにご相談させていただいて。 ニーチェアエックスにご協力いただけていなかったら、このイベント自体できなかったんじゃないかと。私たちにとっては、神チェアです(笑)。

有坂さん イベントとしても、ファイナルの特別感がより増したように思います。 毎年来てくださっていた方々も、入場した時のいつもと違う風景にきっと驚いてくれるんじゃないですかね。

デッキにずらりと並ぶ、50台のニーチェアエックス

-映画鑑賞の観点から、ニーチェアエックスの座り心地はいかがですか?

速水さん とても心地いいです。特にニーチェアエックスのロッキングって、安定感のある揺れ方をしますよね。固定して座ることもできるし、斜めにして観やすい。

有坂さん 渋谷の映画館「アップリンク」にも置いてあるので、僕もニーチェアエックスに座って観たことがあります。スクリーンって高い位置にあるので、普通の椅子だとすぐに疲れちゃうんですよ。ニーチェアエックスは、包み込まれるようにして観られる。 ルーフトップシネマは屋外なので、やっぱりリラックス感も大事にしたい。まさに、その願いを体現してくれる椅子だと思います。

高い位置のスクリーンも、リラックスして観賞できる

“ちょっとした「こだわり」が
おうち映画をもっと楽しく”

-最近では、自宅で映画鑑賞を楽しむ人も増えてきていますよね。より映画の時間を楽しむためのポイントはありますか?

有坂さん 何に座ってみるか、というのはやっぱりすごく大事ですよね。 あとは、おうち時間が長くなって映画を見る機会が増えたぶん、今までテレビで映画を観ていた方にも、やっぱりプロジェクターで壁に大きく映して観てほしい。それだけで「よし、映画を観よう!」心のスイッチを切り替えられるんです。最近は、プロジェクターも安く手に入りますし。

渡辺さん あとはもう、きっとこの映画に合うのはこれに違いない! という食べ物や飲み物を用意するのもいいよね。僕は、やっぱりポップコーンとコーラ。“THE”みたいな組み合わせで、気分を上げてハリウッド映画を見たい(笑)!

有坂さん 観る前と後では、全然違ったなというのでも良いんです。「焼酎合うと思ったけれど、合わないじゃん!思いっきりシャンパンだったな」みたいなのでも、体験としては面白いんですよ。

星空が覗く夕暮れ時。来場者は五感を使って鑑賞を楽しんだ

例年ならば旅行やアウトドアなど、連休ならではの楽しみが目白押しのお盆シーズン。 今年は新型コロナウイルスの影響でいつもとは違う過ごし方が求められていますが、そんな中でも手軽に旅行気分や非日常感を味わえるのが映画鑑賞。用意する食べ物、照明や香りなど、家の中をほんの少し工夫するだけでも特別な時間をつくることができます。

ぜひこの夏はお気に入りの椅子とこだわりのアイテムを揃えて、充実した映画体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Kino Iglu

2003年に中学校時代の同級生、有坂塁と渡辺順也によって設立された移動映画館。 東京を拠点に全国各地のカフェ、雑貨屋、書店、パン屋、美術館など様々な空間で、世界各国の映画を上映している。
多彩なアーティストとのコラボレーションを始め、夏の野外上映会、クリスマスパーティー、SHOPのAnniversary Party、こどもえいがかい、全国ツアー。 さらには映画祭のディレクションや、ライブラリー向けのDVDセレクトまで、既存の枠にとらわれることなく、自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
縁とつながりを大切に。

Kino Iglu kinoiglu.com
CLASKA

CLASKAは、目黒通りでかつて人々に親しまれた古いホテルをリノベートして生まれたホテル・レストラン・レンタルスタジオ・ギャラリー&ショップからなる複合施設です。
ものづくり・サービス・イベントなど様々な活動を通じて、”今”の日本における暮らしの美意識とカルチャーを発信しています。

CLASKA www.claska.com